R8年4月施行|トラック適正化二法

(貨物自動車運送事業法 改正)

 2024年問題を経て、トラックドライバーの地位向上と適切な賃金確保、そしてトラック運送業界の質の向上を目指した、「貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律」(令和7年法律第60号)および「貨物自動車運送事業の適正化のための体制の整備等の推進に関する法律」(令和7年法律第61号)が制定されました。この二法を合わせて「トラック適正化ニ法」(令和7年6月11日に公布)と言います。トラック適正化二法は、公布後3年以内の施行予定で、その一部が令和8年4月1日より施行されることとなりました。

トラック適正化ニ法の概要

本記事では、「トラック適正化ニ法」の概要をご紹介し、令和8年4月1日から施行されている3つの内容を詳しく解説します。

トラック適正化二法による主な改正内容

【令和8年4月1日に施行される項目】

[1] 違法な白トラの利用に係る荷主等への規制
[2] 委託次数の制限に係る努力義務
[3] 貨物利用運送事業者への以下の規定の準用
 ・真荷主との相互の書面交付義務(※1)
 ・委託先への書面交付義務
 ・実運送体制管理簿の作成義務(※1)
 ・委託先への発注適正化に係る努力義務
 ・運送利用管理規程の作成義務、運送利用管理者の選任義務(※2)

(※1)貨物利用運送事業者が元請となる場合に限ります。(※2)前年度の利用運送に係る貨物取扱量が100万トンを超える場合に限ります。

 
公布後3年以内に施行される項目】

[4] トラック事業者の許可に係る更新制度の導入
[5] 国土交通大臣が定める「適正原価」を下回る運賃・料金の制限

国土交通省HPより引用 https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_mn4_000019.html

1. 「白トラ」を利用する荷主への取り締まり

 許可を受けずに有償で運送行為を行う無許可業者のトラック、いわゆる「白トラ」に貨物の運送を委託した荷主等が、新たに処罰の対象になります。

  • 無許可業者(白トラ)への委託が禁止され、違反した場合は荷主側にも100万円以下の罰金が科せられる
  • 白トラへの関与が疑われる荷主等は、「トラック・物流Gメン」※による是正指導(要請、勧告・公表)の対象となります

※トラック・物流Gメンとは、物流業界全体の適正化を図るため、「プッシュ型(積極的)情報収集」や、違反原因行為の疑いのある荷主・元請事業者への是正指導等を行う、国土交通本省・各地方運輸局等の物流担当職員及び各都道府県トラック協会のGメン調査員からなる専門部隊です。

注:自家用自動車による運送について、自己の生業と密接不可分でその業務過程の中に包摂され、独立性を有しないものである場合等(自らの販売・製造・修理等のために行う物品の運送)は許可不要です。

2. 委託回数の制限が2回までに

 トラック運送事業者・利用運送事業者は、真荷主から引き受けた貨物の運送について、他のトラック運送事業者の行う運送を利用するときは、委託段階を2次までに制限するための必要な措置を講ずることが求められるようになりました。

  • 荷主から運送を受託した元請を「ゼロ次」としてカウントし、元請からの再委託の回数2段階までに制限するよう努める
  • 1次請け事業者も、元請の委託次数の縮減に協力する
  • 一般貨物運送事業者だけでなく、取引構造の途中に入る貨物利用運送事業者(第一種自動車・第二種集配)、軽貨物運送事業者、特定貨物運送事業者に対しても委託次数にカウントされる
  • マッチングサービス事業者等が運送契約の取次ぎを行う場合、委託次数はカウントされない
  • その他、運送契約書面の交付義務、実運送体制管理簿の作成義務等が、貨物利用運送事業者(第一種自動車・第二種集配)に対しても適用されることに

3. 「書面交付義務」「実運送体制管理簿の作成義務」の対象者が利用運送にも拡大

 元請として荷主から運送委託を受けた貨物利用運送事業者など、全てのトラックを利用する貨物利用運送事業者に、運送契約締結時に、「書面交付義務」(法第12条に基づく荷主との相互の書面交付、法第24条に基づく委託先への書面交付)が課されるほか、元請としてトラックを利用する貨物利用運送事業者にも「実運送体制管理簿の作成義務」が新たに課され、この度施行されました。

 加えて、年間のトラックの利用運送量が100万トンを超えている貨物利用運送事業者にも、運送利用管理規程の作成義務運送利用管理者の選任義務が新たに課されることになりました。

  • 運送契約締結時に、提供する役務の内容やその対価(附帯業務料、燃料サーチャージ等を含む。)等について記載した書面の交付が義務となり、その写しを1年間保存すること
  • 利用運送を行うときに委託先への発注適正化(健全化措置)について努力義務が課さえるとともに、一定規模以上(前年度の利用運送量100トン以上)の事業者に対し、健全化措置に関する「運送利用管理規程」の作成・「運送利用管理者の選任」を行い、国土交通省への届出が義務付けに
  • 元請事業者に対し、実運送事業者の名称や請負階層等を記載した「実運送体制管理簿」の作成を義務付け。また、各事業者に対し、実運送体制管理簿の作成に必要な情報の通知を義務付け

今後の施行予定の項目について

この後、交付後3年以内である令和10年6月ごろまでに施行が予定され、さらに大きな変化が予想されます。

4、 5年ごとの許可更新制の導入
  • 許可を5年ごとに更新を受けなければ効力を失う
  • 許可基準に法令遵守や労働条件(適正原価の収受、労働者の処遇確保、社会保険料の納付等)が厳格にチェックされる
  • 更新申請時には一定の手数料収受が想定される
5、適正原価の告示: 標準的運賃に代わり、燃料費や人件費を反映した「適正原価」が公表
  • 適正な事業運営確保のために通常必要と認められる費用を的確にした「適正原価」を定め、告示される
  • 受注者となるトラック運送事業者、発注者となるトラック運送事業者・利用運送事業者の双方に義務化

 新制度の導入により、トラック運送業界は大きな転換期を迎えています。今後施行する2つにつきましても順次記事で解説する予定です。事業者の皆様は、早めの情報収集と対応策の検討を行い、スムーズな移行を目指してください。運送業関するご相談は、STパートナーズへお気軽にお問合せ、ご依頼ください。