企業内転勤ビザ|申請から10日間でスピード許可!

(在留資格/企業内転勤)

 この度、健康・医療関連製品の製造・販売グループの日本法人よりご依頼をいただき、同グループ内の外国法人から日本法人への配置転換に伴う「企業内転勤」の在留資格認定証明書(COE)交付申請を行いました。

 本件は、企業内転勤における一般的な「本店(本社)から支店(支社・営業所)」の転勤ではなく、「共通の親会社を持つ子会社同士」の間での異動という、資本関係の立証においてやや複雑な要素を含む案件でしたが、申請からわずか10日間という早さで認定書が交付されました。

 今回の申請におけるポイントをお伝えします。

【企業内転勤ビザとは?】

「企業内転勤」とは、外国籍の社員が、海外の本社やグループ企業などから、日本の本社・支社などに期間を定めて転勤(異動)して働くための在留資格です。

 就労ビザの代表格である「技術・人文知識・国際業務」とは異なり、学歴や実務経験の要件は求められませんが、直近1年間に海外の本社やグループ企業などでフルタイム勤務していたことや、受け入れ機関の資本関係などが審査されます。

 職種に関しては、「技術・人文知識・国際業務」と同様、学術上の素養を背景とする一定水準以上の業務で、具体的には、IT技術者、マーケティング、広報、コンサルティング、経理、人事、労務、営業、貿易事務、翻訳通訳などです。期間は5年、3年、1年または3ヶ月で、転勤期間延長による「企業内転勤」の更新は可能です。

本案件の2つのポイント

①親子関係ではない「子会社同士」間の資本関係について

「企業内転勤」が認められる転勤の範囲は、法律上「本店と支店間」や「親会社と子会社間」だけでなく、共通の親会社を持つ「子会社同士」(兄弟会社)の異動や、関連会社への異動も対象に含まれます。

「企業内転勤」ビザが認められる転勤の範囲
  • 本店(本社)と支店(支社・営業所)間の異動
  • 親会社と子会社・孫会社間の異動
  • 子会社間・孫会社間の異動(同一の親会社を持つ関係)※ひ孫会社(曾孫会社)同士の異動は原則対象外ですが、親会社から一貫して100%出資されている場合は認められます。
  • 関連会社への異動(親会社と関連会社、または子会社と子会社の関連会社間の異動。※関連会社同士の異動は対象外)

  

本店と支店間の異動
親会社と子会社・孫会社間の異動
子会社間・孫会社間の異動
関連会社への異動

 ただし、申請書上で単に「子会社同士」と主張するだけでは入管の審査官に伝わりにくい可能性があるため、今回は以下の公的資料と企業内資料を組み合わせ、グループ全体の資本の結びつきを論理的に証明する「補足説明書」を当事務所で作成し、添付いたしました。

補足説明書に添付した資料

  • 日本法人の税務申告書(別表二など株主の明細がわかる資料)
  • 外国法人の株主名簿(翻訳付き)
  • グループ全体の資本関係を示した組織図

カテゴリー1(健康経営優良法人)の強み

 今回は受け入れ企業において、経済産業省所管の「健康経営優良法人」の認定を受けられていたことが、スピード交付につながった理由の1つとして推測されます。

 当該認定を受けている企業は「カテゴリー1」に位置づけられ、信頼性の高いと組織と判断されるため、提出書類の一部簡素化という大きなメリットがあります。  カテゴリー1の区分には、上場企業が含まれるほか、一定の条件を満たす企業(下記に挙げた(1)〜(11)の認定や登録を受けている企業)も対象となります。「健康経営優良法人」だけでなく、様々な認定制度がありますので、外国人を積極的に採用する企業においては、今後の取得を検討されてはいかがでしょうか。

一定の条件を満たす企業等について

(1)「ユースエール認定企業」(厚生労働省)

(2)「くるみん認定企業」,「プラチナくるみん認定企業」(厚生労働省)

(3)「えるぼし認定企業」,「プラチナえるぼし認定企業」(厚生労働省)

(4)「安全衛生優良企業」(厚生労働省)

(5)「職業紹介優良事業者」(厚生労働省)

(6)「製造請負優良適正事業者」(厚生労働省)

(7)「優良派遣事業者」(厚生労働省)

(8)「健康経営優良法人」(経済産業省)

(9)「地域未来牽引企業」(経済産業省)

(10)「空港管理規則上の第一類構内営業者又は第二類構内営業者」(国土交通省)

(11) 「内部通報制度認証(自己適合宣言登録制度)登録事業者」(消費者庁)

(8)「健康経営優良法人」(経済産業省)

地域の健康課題に即した取り組みや、日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践している大企業や中小企業」を顕彰する制度です(経済産業省設計)。

 今回の申請では、必要最低限の資料を提出するだけではなく、ひと手間加えたことによって、申請から10日間でのスピード交付となりました。

【「短期滞在」での滞在中の許可と、出国・査証申請】

 なお、これは余談となりますが、今回の申請対象者は、ビジネスの準備や引き継ぎ等のため、「短期滞在」のビザで日本に滞在中に、認定書の交付を受けました。

 「日本にいる間に認定書(COE)が交付されたら、そのまま国内で就労ビザに切り替え(在留資格変更)ができないか?」というご相談もいただきますが、現在は、原則として「単に滞在中にCOEが交付されたこと」をもって、在留資格の変更を認める特例(やむを得ない特別の事情)には該当しないとの運用に変更されています。

<出入国審査・在留審査Q&A(Q55参照)>https://www.moj.go.jp/isa/immigration/faq/kanri_qa.html

 そのため、今回の事案でも依頼を受けた段階で、認定書の受領後に出国が必要になることを伝え、現地の日本大使館等で査証(ビザ)を発給してもらい、日本に再入国していただくスケジュールでお願いしました。

企業内転勤の在留資格は当事務所へ 

 外資系企業やグローバル展開している企業においては、組織再編やグループ会社間での急な人事異動なども少なくないと思います。カテゴリー1に該当する認定制度の取得は、企業イメージ向上だけでなく、外国籍社員のビザ申請においても非常に強力なメリットとなり得ます。

 当事務所では、海外人材の受け入れや、国内外のグループ内企業での配置転換にお悩みの企業様は、STパートナーズへぜひお気軽にご相談ください。