建設業 「特定建設業許可」その①

 先日、一般建設業の許可をお持ちのお得意さまから、特定建設業許可を取得したいとのご相談がありました。そこで今回は、特定建設業許可について確認してみたいと思います。

 建設業許可には一般と特定がありますが、その大きな違いは何でしょうか? 特定建設業の許可は、下記のように定義されています。

特定建設業とは

1件の建設工事につき4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円以上)の工事を下請けに出そうとする建設業者(元請業者)に取得が義務付けられている許可資格

 つまり、元請け工事を行う事業者のみを対象とし、下請工事に出す金額の多寡により許可の必要性が判断されます。従って、請負代金が4,500万以上でも、すべて自社施工(下請けに出さない)なら、特定建設業許可は不要となります。そして、自社が下請け業者の立場にある場合は、金額に関わらず、一般建設業許可で差支えありません。

 建設業法は、許可分類を「一般」と「特定」に分けて、「特定」許可に、より厳格な要件を求めていますがこれは、「下請の保護」という目的のためということを鑑みれば、分かりやすいかと思います。

特定建設業許可の取得要件

 すでに一般建設業許可をお持ちの場合は、下記2つの要件をクリアすれば、特定建設業許可が取得可能となります。

①財産的基礎の要件

①財産的基礎の要件

以下の「すべて」に該当すること

●欠損の額が資本金の20%を超えていないこと。

●流動比率が75%以上であること

●資本金の額が2,000万円以上で、自己資本の額が4,000万円以上であること。

 今回のお客さまは、資本金の要件をを満たしていなかっため、増資の手続きが必要なことがわかりました。お客様の顧問税理士とも相談し、財産的基礎要件をクリアした状態で決算期の変更を行い、申請を行うようアドバイスさせていただきました。

②専任技術者の要件

 特定建設業許可の条件として、営業所ごとに配置する専任技術者が所定の国家資格または、一般建設業許可の専任技術者要件を満たしていておりかつ指導監督的な実務経験があれば取得可能です。ただし、指定建設業(土、建、電、管、鋼、舗、園)については、一級の国家資格か技術士資格保有者、または大臣認定者でなければなりません。

 お客さまの場合は、専任技術者が多数の業種で該当する国家資格をお持ちでしたので、その業種のみ、特定建設業許可を申請することになりました(同一の業種で一般建設業許可と特定建設業許可の両方を取得することはできません)。その他に関しては「一般」許可のままとする「一部般特新規」申請となりました。 

・全部般特新規:建設業許可を持っている者が一般建設業許可と特定建設業許可のどちらかに切り替える(追加する)こと。

・一部般特新規:建設業許可において、複数の一般建設業許可から一部の工事業種を特定建設業許可に換える申請、あるいは複数の特定建設許可から一部の工事業種を一般建設許可に換える申請

②専任技術者の要件

以下のいずれかに該当すること

●国家資格者(※詳細は国土交通省のページへ

●一般建設業許可の専任技術者に該当し、さらに許可を受けようとする建設業で発注者から直接請け負う4,500万円以上の工事で2年以上の指導監督的な実務経験を有する者

●大臣特別認定者(指定建設業7業種<土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業>に関して特別認定講習を受け合格した者若しくは国土交通大臣が定める考査に合格した者)

詳しくは、専任技術者の要件のページへ

 

 現在は申請が無事に終わり、許可が下りるのを待っているところです。

 般特新規などの建設業許可申請に関してのご相談がございましたら、当事務所までお気軽にお問合せください。

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