2026年1月|行政書士法改正による影響を考えてみました

 2026年(令和8年)1月1日より『行政書士法の一部を改正する法律(令和7年法律第65号)』が施行されています。

 その影響で、当事務所にも「これまではサービスとして行っていた代行業務をお願いできませんか?」といったご相談を何件かいただきました。

 今回の法改正は、行政書士事務所である私たちだけでなく、許認可に関連するサービスを提供する一般企業の皆さまに関わる内容も含まれています。今回は法改正の背景や、業務上で注意すべきポイントについて少しご紹介したいと思います。

1. 法改正の背景と目的

 今回の改正は、「デジタル社会への対応」と、行政書士制度の健全性を守り「依頼者の保護(国民の権利利益の擁護)」を推進することが主な趣旨とされています。

① デジタル社会への対応

 行政手続きのオンライン化が急速に進む中、今回の改正では行政書士に対し、以下の職責が法律に明記されました。

【職責(第1条の2 第2項)】

行政書士は、その業務を行うに当たつては、デジタル社会の進展を踏まえ、情報通信技術の活用その他の取組を通じて、国民の利便の向上及び当該業務の改善進歩を図るよう努めなければならない

 つまり、行政書士は単に書類を作成するだけでなく、電子申請などの最新技術に対応し、デジタル手続きに不慣れな方が取り残されることがないようサポートすることが、法律上の努力義務として求められるようになりました。

業務制限規定の明確化(依頼者の保護)

 一方で、資格を持たない事業者が形式的に名目を変えて報酬を得て手続きを行うケースが散見されていました。 そこで、依頼者の権利と利益を守るため、第19条(業務の制限)の規定がより厳格化・明確化されました。

【業務の制限(第19条 第1項)】

行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない

 

今回の改正で「いかなる名目によるかを問わず」という文言が追加されたわけですが、これにより、「事務手数料」や「コンサルティング料」「翻訳料」といった名目であっても、実質的に書類作成等の対価とみなされる場合は、法律違反となることが明確になりました。

 また、違反した場合の罰則規定も整備されています。

  • 個人への罰則: 1年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金(第21条の2)
  • 法人への両罰規定: 違反行為者だけでなく、その法人(会社)に対しても罰金刑を科す(第23条の3)

 これにより、担当者個人の責任だけでなく、法人としてのコンプライアンス責任も問われることになったわけです。

2. 業務の見直しが必要になる場合

 今回の改正規定に照らし合わせると、これまで慣習的に行われていた以下のようなケースでは、業務フローの見直しが必要になるといわれています。

主な対象事業者と業務例

  1. 自動車販売店・整備店
    • 自動車登録申請の代行
    • 車庫証明取得の代行
  2. 登録支援機関・人材会社
    • 外国人の技能実習、特定技能等の在留資格申請書類の作成
  3. コンサルティング会社
    • 補助金申請における事業計画書・申請書の作成代行

具体的なケース

1. 自動車販売などを行っている場合 お客様へのサービスの一環として、自社スタッフ(行政書士資格をお持ちでない方)が車庫証明の取得登録申請書類の作成を行っているケースです。これらが「業として(反復継続して)」行われ、実質的な報酬を得ていると判断される場合には注意が必要です。

2. 外国人の人材紹介・登録支援機関を行っている場合 外国人材の紹介や支援委託とセットで、在留資格(ビザ)の「認定申請」「変更申請」等の書類作成を行っているケースです。 「支援費に含まれている」、「翻訳料として受け取っている」という理由であっても、注意が必要となるでしょう。

3. コンサルティング事業を行っている場合   「着手金無料」などをうたい、事業計画書や交付申請書などの作成から提出までを一括して代行する場合などは注意すべきといえます。

3. 私たち行政書士にご相談ください

 許認可に関する手続きは、原則として「申請者本人」が作成して提出するか、「行政書士」が代理(代行)する必要があります。

 実際の行政手続きでは複雑かつ専門的な知識を要するものがあり、申請者本人ですべてを対応するのが難しいケースもあります。

 また、コンプライアンス的な観点からのリスクを軽減するためには、次のように対応されてみてはいかがでしょうか?

  1. お客様への説明 書類作成等の手続については、最寄りの行政書士事務所を紹介する、相談するように提案する
  2. 専門家との連携 お客様の同意のもと、行政書士事務所と連携して手続きを進めるフローを構築する

 今後は益々、コンプライアンス(法令遵守)が求められ社会になっていくものと思われます。

 当事務所では、事業者様と連携し、お客様に安心してサービスを利用いただける体制づくりもサポートしております。「これまでの運用で問題ないか確認したい」、「行政書士と連携して業務フローを再構築したい」など、お気軽にご相談・ご依頼ください。