建設業許可のM&Aや事業承継における注意点
(建設業/新設分割)
今月、建設業許可(東京都知事許可)の分割認可を申請して無事に受付されたのですが、最初の申請から3日後に申請の取下げと2回目の認可申請を行う結果となりました。
なぜ、このような結果になってしまったのか、建設業許可を承継する際の注意点について、改めてご紹介したいと思います。なお、当事務所で過去に掲載した記事も参考にしていただけると幸いです。
建設業許可の新設分割認可申請 (2025年1月23日 STパートナーズ)
建設業許可の分割認可申請と取下げ+再申請 (2024年11月5日 STパートナーズ)
【1】 相談の概要
今回の事案は、事業再生系の案件を得意とされている弁護士さんからのご紹介でした。過去にも許認可が絡む事業再生の案件でご一緒をしております。
当該企業は、東京都内で内装事業などを長年に渡って営んでこられましたが、代表のA社長が高齢という事もあって、M&Aによる事業承継を希望されていました。今般、建設業許可の受皿となるスポンサー企業と合意に至ったという事で、M&A仲介の担当者さんと一緒にA社長がご相談に見え、当事務所にご依頼をいただくことになりました。
【2】 事業承継手続の大まかな流れ
改めて、東京都知事許可における建設業許可の承継手続の流れは次のようになります。
①事前相談
対面相談となります。事業承継の承継予定日(効力発生日)を基準に、時間的な余裕をもって相談に行きましょう。特に合併や分割などの契約内容を確定させる前に相談することが重要となります。
②申請時期
東京都では、承継予定日の閉庁日を含まない前日の2か月前から25日前まで
例)令和8年11月1日が承継予定日とすると、申請期限は9月24日となります。
※承継予定日は、既存の許可の有効期間が満了する日の30日前よりも前の日であることが原則です。
③認可申請の審査手数料
事業承継の認可申請では、審査手数料は不要となっています。
④引き続き使用することができる許可番号
許可の承継に関する認可手続きにおいては、許可番号の取り扱いは次のいずれかとなります。
●承継者が許可を持っていない場合 → 既存の許可番号が引き継がれます。
●承継者も許可を持っている場合 → 引き継ぐ許可番号の選択が可能です。
⑤承継の対象外とするケース(合併・分割の場合)
承継者は、被承継者の建設業の全てを承継する必要があります。両社が建設業許可を有している場合、業種によって承継できないケースもあります。当該ケースでは、承継日より前に一部廃業届を提出するなど、追加対応が必要となる場合があります。
⑥後日提出資料
承継予定日以降でしか確認できない要件(新設会社における社会保険への加入など)等に関する資料は、承継予定日以降、速やかに提出します。
⑦事前認可申請の取下げ
認可申請書を提出し、受付された後に取下げ事由が発生した場合(合併・分割契約が破棄された、承継予定日に変更があった等)は、「認可申請の取下げ願」の提出が必要となります。取下げの際には、受付印のある申請書(副本)も持参する必要があるので注意が必要です。
⑧認可後の許可の有効期間
事業承継の場合は、承継の日の翌日から5年となります。
なお、承継日当日も許可は有効とされるため、認可通知書記載の有効期間は、5年と1日になります。
例)承継認可の通知書に記載される許可の有効期間
令和8年11月1日~令和13年11月1日
【3】 再認可申請の経緯
今回は最初の認可申請の受付翌日に、スポンサー企業の意向で新設分割の効力発生日が変更されていたと連絡を受けました。
東京都に相談したところ、一度、認可申請を受理してしまった以上、承継予定日の補正では対応できないので、認可申請の取下げを行ったうえで、再度、認可申請をしてくださいとのことでした。
なお、承継日は当初の予定より3日後に変更となっていたので、取下げ申請と同日に再申請を行い、提出期限には間に合わせることができました。9月はシルバーウイークがあって稼働日が少ないため、当初から時間的な制約はありましたが、リカバリーができて一安心しました。
【4】 まとめ
M&Aによる事業承継においては、買い手側(スポンサー側)の意向が重視される傾向にありますが、建設業許可の事業承継においては、資本金の要件や承継の効力発生日が変更になることによって、承継のスキームが最初からやり直しになるといったリスクも考えられます。
また、常勤の役員等(旧経管)や営業所の技術者(旧専技)など、人員の承継等も重要な要件となってきます。
これまで何度か経験してきて、M&Aが合意に至ってから手続きのスピード感が一気に上がることは理解していますが、許認可が絡む事業承継等に関しては、十分に時間を取っていただく事をお勧めいたします。 当事務所では、建設業許可の他、運送業や酒類免許の事業承継に関しても実績があります。ご依頼の際は、ぜひお気軽にお問合せください。

