法人成りに伴う飲食店営業許可

(飲食店業許可)

 先日、川口市保健所に飲食店営業許可に関する手続きに行ってまいりました。

 日頃お世話になっている税理士から、顧問先のお客様をご紹介いただきました。個人で飲食店の営業許可を取得されていましたが、この度、法人成りしたため、法人での営業許可をお願いしたいとのことでした。

食品衛生法の一部改正

 飲食店営業許可の根拠となる食品衛生法は、平成30年6月に改正され、令和3年6月1日から施行されています。この改正で「営業許可制度」の見直しがされましたが、合わせて施設基準も改正されています。詳細は、下記の記事(2023年11月20日掲載)で紹介しています。

食品衛生法の一部改正で「営業許可」の譲渡が簡単に!

 この改正により、事業譲渡された場合の手続が変わったので、今回はこちらの詳細を見てみましょう。

 実は、飲食店営業許可の名義変更(譲渡)手続が可能となっているのです。改正前は、許可を受けている譲渡人は「廃業届」を提出し、譲り受けた人は新規で「営業許可の申請」をする必要がありました。しかし、改正により、令和5年12月13日以降に事業譲渡が行われた際には、譲り受けた人が保健所に地位の承継を行うことにより、速やかに営業者の名義を変更することが可能になりました。

飲食店の事業継承改正

 従いまして、今回のお客様の場合は、法人成りに伴う手続きに関して、次の2通りのパターンが考えられました。


 ①法人で新規で取り直す。

 ②個人から法人へ事業譲渡する。

 ①の場合、書類に関しては、個人で申請したときものをほとんど流用できますので、作成はそれほど大変ではないと思われますが、施設の構造及び設備を示す平面図や水質検査成績書など申請書類一式が必要となります。また、申請手数料もかかりますし、実地調査も必要となります。

 ②の場合は、地位承継届を行いますが、実地調査は場合によっては不要となることもございます。申請手数料は不要です。お客様に説明しましたところ、今回は、やはり負担軽減が見込まれる②で進めさせていただくことになりました。

地位承継届に川口市保健所へ

 届出の当日はあいにくの雨でしたが、電車とバスに揺られて、川口市保健所へ行き、無事に「事業承継届」の提出を完了しました。

 川口市の場合、地位承継届には、次の資料が必要でした。

●地位承継届(HPに書式あり)

●個人から法人へ事業譲渡されたことがわかる書類(自由書式)

●営業許可証の原本

●全部履歴事項証明書の写し

※行政書士が代行する場合でも、委任状は不要です。

※各自治体により手続方法や必要書類が異なる可能性がございます。手続の際は管轄の保健所へご確認をお願いします。

川口保健所HP:https://www.city.kawaguchi.lg.jp/soshiki/01090/027/shokuhin/jigyousha/eigyou/index.html

 なお、今回のお客様は、手洗設備に変更があったため、実地調査が必要となりました。事前にお客様の都合の良い日程を伺い、実地調査日も予約しました。実地調査は、営業中でも実施可能です。一般的には所要時間は30分ほどですが、今回は事業譲渡に伴う実地調査なので、個人で申請した時と変更がないことの確認が取れれば、短時間で済むとのことでした。今後、実地調査を経て、営業許可証の受け取りとなる予定です。

 お客さまのお店は、温かみのある雰囲気で居心地よく、美味しいスイーツとスタッフの丁寧な対応で人気のようです。お友達や家族とのおしゃべりタイム、一人の読書タイムなど、カフェを楽しむ方も多いと思いますが、あの空間の裏では、経営者さまの想いと努力があることを感じました。法人成りして、ますます繁盛され、お客さまの「お客さま」が喜んでいる姿がさらに増えることを祈っております。 

 当事務所では、飲食店営業許可も対応いたします。ご希望ございましたら、実地調査の立会も可能です。ぜひお気軽にお問合せください。