業種追加申請と経審事項審査の注意点
(建設業許可/東京都)
建設業許可を取得済みの事業者様にとって、事業拡大に伴う許可の「業種追加」申請は普通にあることです。
この一般的な業種追加申請ですが、経営事項審査(以下「経審」)や入札参加資格申請の手続との兼ね合いで、注意しなければならない点があります。
今回は、東京都の建設業者様からご依頼をいただいた「業種追加」申請に関して、その後の経審受診手続きの難易度が高かった事例を通して、手続を円滑に行うために知っておいた方が良いポイントをご紹介します。
【手続の概要】
(※話を分かりやすくするため、内容を一部アレンジしています。)
前年に引き続き、A社さんから経審の依頼を受けました。A社の決算期は3月末です。この場合、令和7年3月31日を審査基準日とする経審を受けるため、「決算終了後4ヶ月以内」、つまり同年7月31日までに「決算変更届」を提出、その後に経審を受診し、結果通知書を同年10月31日までに受領している必要があります。
上記のスケジュール感を考慮したうえで、A社さんとしては、「業種追加」申請を経た後、追加した許可業種も今回の経審の対象としたい、という要望でした。
A社の株主総会は6月に開催されるということで、確定申告前に業種追加申請をし、その後、7月末までに決算変更届提出、経審を受けるという方向性で話がまとまっていたのですが、諸般の事情により業種追加の申請が8月にずれ込んでしまいました。 確定申告後に業種追加申請がずれ込んだことで、想定していた手続に大きな違いが2つ生じてくることになりました。
業種追加申請と経審の理想のスケジュール

相違点①:財務諸表の対象期間について
業種追加の申請が8月になったことで、直前決算期(令和7年3月末日)の財務諸表を業種追加申請で提出する必要が出てきました。これが実務上で、どう影響するか、次の比較表をご覧ください。
(比較)業種追加の申請時期による経審等への影響など
| 業種追加の提出時期 | (理想)R7年6月 | (実際)R7年8月 |
| 経審の審査基準日 | R7年3月31日 | R7年3月31日 |
| 業種追加の申請・完了 | R7年4月〜7月(完了) | R7年8月(申請) |
| 経審の対象となる直前3年(度) | R4年4月1日~R5年3月31日 R5年4月1日~R6年3月31日 R6年4月1日~R7年3月31日 | R4年4月1日~R5年3月31日 R5年4月1日~R6年3月31日 R6年4月1日~R7年3月31日 |
| 業種追加時の財務諸表 | R6年3月31日(決算) | R7年3月31日(決算) |
| 業種追加時の対象となる直前3年(度) | R3年4月1日~R4年3月31日 R4年4月1日~R5年3月31日 R5年4月1日~R6年3月31日 | R4年4月1日~R5年3月31日 R5年4月1日~R6年3月31日 R6年4月1日~R7年3月31日 |
| 経審受診時における工事施工金額等の訂正(別紙8)の可否 | 可能。 R7年3月決算期分の決算変更届について、経審の申請時などに訂正ができる。 | 不可。 業種追加申請時に提出した工事施工金額等については訂正できないため、R7年3月決算期分の内容を訂正できない。 |
| 注意点 | 経審準備期間中に、R7年3月決算期の工事実績等について、内容を精査し、訂正もできる。 | R7年3月決算期の内容に誤りが見つかっても訂正できないため、経審の受診にリスクが伴う。 |
提出する財務諸表の決算期などが変わることがお分かりいただけたかと思います。
相違点②:財務諸表等の訂正の可否について
上記の比較表にも示しましたが、財務諸表等の訂正ができないという大きな影響があります。これが本当に大きい!
「建設業許可 手引き(東京都)より(P.95)」には、次のように記載されています。
決算報告の「変更届出書(別紙8)の訂正について」
新規、許可換え新規、般・特新規、業種追加申請で提出した「工事経歴書」、「直前3年の各事業年度における工事施工金額」及び「財務諸表」の訂正を行うことはできません。
もし、業種追加で提出した工事経歴書等に、既存業種や追加業種の売上が間違って計上されていても後から訂正ができないため、経審での評点に影響することを意味します。
業種追加申請で提出した「工事経歴書」「直前3年の各事業年度における工事施工金額」などが前期分であれば、直近期である令和7年3月期分の決算変更届については、「決算報告の変更届出書(別紙8の訂正)」を提出することで数字面での修正も可能となり、さらに、経審の受診までに工事資料を精査する時間的な余裕も生まれることになります。
【実際の対応と結果】
1.工事施工金額の間違いが見つかる
前回の記事の内容については、A社と事前に共有したうえで業種追加申請の手続きを進めていました。ですが、業種追加の許可通知書が発行された後、経審を受診する手前で工事施工金額の間違いが判明してしまいました。担当者曰く、追加工事を行った際の請求書が漏れていたとのこと・・・。
金額としては数十万円といったところですが、当事務所でも初めての対応となるため、善後策を東京都に相談することになりました。
2.職権による工事金額の訂正
東京都の許可審査と経審審査、それぞれの担当窓口に確認したところ、「決算報告の変更届出書(別紙8の訂正)」による訂正はできないとのことでした。
経審の審査担当者さんからは、「正しい内容で申請してもらうことが大前提なので、職権による訂正を行います。」とのこと。ただ、これはかなり例外的な取り扱いになるので、行政書士事務所として虚偽申請にならないよう十分に気を付けるようにとの指導をいただいたことは言うまでもありません。
3.経審の取下げ
今回の手続きに際して、東京都に色々と相談していた中で、経審の取下げができることも分かりました。
一度受けた経審について再受診はできないのが原則のため、取下げも例外的な手続きとなります。
東京都で経審を取下げする際の注意点ですが、そもそも最初から経審を受けていなかった取り扱いとなり、経審の有効期間(審査基準日より1年7か月)との関係で、公共工事の受注可否に大きく影響するため、慎重な検討が必要となります。
4.結果とまとめ
今回の業種追加申請では実務経験の証明が必要だったのですが、建設業許可の主たる営業所変更に伴い、地方整備局も複数管轄になっていて裏付資料の作成にも時間がかかり、時間的な余裕がほとんどなかったことも影響したと考えています。
結果としては、8月中に業種追加を申請、9月中旬の許可、そして、10月末までには経審の結果通知書を取得できたのですが、やはり余裕を持った準備、段取りが必要だと私たちも実感いたしました。
なお、今回は私たちが経験した1つの事案となりますので、具体的な手続きについては審査行政庁に相談しながら進めるようにご注意ください。
スケジュール厳守は当事務所にお任せください
建設業許可手続きは、お客様の準備状況だけでなく、行政側の複雑な確認作業や運用、ルールが大きく影響します。特に経審が絡む場合は、スケジュール管理の重要性がお分かりいただけたのではないかと思います。
当事務所では、お客様のご依頼の趣旨を可能な限り達成するため、タイトなスケジュールでも最大限にサポートをしています。
- 経審手続き全体の確実な進捗管理
- 行政庁との面倒な折衝や確認、審査基準に則したアドバイス
上記の他、「業種追加したいけど、経審との関係で最適な方法は?」、「手続き全体をプロに任せたい」といった要望がございましたら、ぜひ一度当事務所にご相談、ご依頼ください。事業拡大を最短ルートで実現できるよう、全力でサポートいたします。

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