入札参加資格登録とは

入札参加資格とは、官公庁や各都道府県の自治体の公共入札へ参加するために必要な資格です。

建設業者にとっては、経審を受け入札に参加し公共工事を受注できることは、さまざまなメリットがあります。

【入札に参加し公共工事を受注するメリット(建設業の場合)】

  • 元請事業者として工事ができる
  • 地域や取引先への信頼度が上がる
  • 売上代金をきちんと回収できる
  • 工事着工前に支度金などがあり資金繰りで困らない など


入札参加資格の申請先は多種多様あり、官公庁、自治体、外郭団体といった公的機関ごとに取得が必要な参加資格が異なります。
まずは、ご自身がどの機関の入札に参加したいのか事前調査や準備が必要です。

また、入札の方式には、主に「一般競走入札」「指名競走入札」があります。このうち官公庁等の公共機関が発注者となる場合の多くは「指名競走入札」(「指名願い」とも呼ばれる)を採用しています。この発注者名簿に登録するための手続きを「入札参加資格登録」と言います。

一般競走入札発注者が発注内容を公告し参加希望者を募る方式
指名競走入札予め入札希望者に格付けを行なって登録、発注案件に見合った能力を持つ事業者を数社指名し、入札参加希望を確認した上で、希望した事業者間のみで競争入札を行う方式

入札参加資格の分類

入札参加資格は、大きく分けると種類は4分類あり、申請窓口を「物品」「建設」の2つに分けている運営団体が多いです。

「物品」は物の製造や販売の発注、「役務」はサービス業務で人材派遣やシステム開発など様々な業務委託が含まれます。

「建設」は建設工事や土木工事、「建設コンサルタント」は設計や測量などの業種です。建設への登録には事前条件として「経営事項審査」に申請しP点を取得していることや、請負金額や発注機関によっては「コリンズ」への登録が必要となります。

【入札参加資格の分類表】

入札参加資格の種類図
分類業務内容発注機関(国)発注機関(地方自治体)
物品物の製造・販売全省庁統一資格
(国の各省各庁)
自治体ごとの独自資格
県単位の共同運営体
役務(業務委託)サービス業務
建設工事建設工事・土木工事省庁ごとの独自資格自治体ごとの独自資格
県単位の共同運営体
建設コンサルタント設計・測量

経営事項審査とは

経営規模の認定、技術力の評価、社会性の確認、経営状況の分析という4つの指標を元に、申請者の経営状況を数値化します。いわゆる会社の「通知表」のようなものです。

公共工事を発注者から直接請け負おうとする建設業者が、必ず受けなければならない審査です。経審には有効期限(1年7箇月)があり、期限が切れると入札に参加できなくなりますので、定期的に審査を受けることが必要です。

「経営事項審査」詳しくはこちら

コリンズ・テクリスとは

(一財)日本建設情報総合センターが構築した官公庁工事実績情報データベースです。

企業が受注した公共工事または業務の実績を収集し、公共発注機関および受注企業が共に活用できるようにした工事・業務実績情報データベースで、公共工事の公平性や透明性、競争性の向上のため、登録内容を発注機関及び受注企業へ情報提供しています。

1工事あたり500万円以上の工事から登録可能で、公共工事の場合は税込2500万円以上の工事から登録が義務づけられています。

入札参加資格の登録先一覧

発注機関は、国や国立大学などの独立行政法人をはじめ、都道府県や市区町村などの地方自治体も含まれます。入札参加資格の登録先は、国のすべての官公庁の入札案件を扱う「全省庁統一資格」(物品の製造・販売)や、「東京都」や、東京都内の市区町村が運営する「東京自治体共同運営」各県庁が運営する共同運営体自治体ごとの独自資格など、多岐にわたります。

また申請期間は主に「定期申請」「随時申請」を採用している場合が多くあります。

「定期申請」は、資格者名簿の有効期間はそれぞれの運営団体により違いますが、2年間の場合は2年に1度一定期間のみ受付を行います。期間の途中から認定を受けたい場合は、「随時申請」を行います。随時申請や、変更、追加申請の期間は、各団体によって異なりますので、事前に調べてから登録申請を行いましょう。

登録先電子申請先電子申請で用意するもの受付期間
「全省庁統一資格」(物品)
国の各省各庁
1都1道2府43県
「電子調達システム(政府電子調達(GEPS))」
https://www.p-portal.go.jp/pps-web-biz/UZA01/OZA0101
・電子証明書(個人事業主等はマイナンバーカードでも可)認証局により、ICカード形式またはファイル形式
・パソコン(Windows 10/11)
三年毎更新
随時受付有
「国土交通省」(建設工事)
登録申請https://www.mlit.go.jp/chotatsu/shikakushinsa/index.html

国土交通省電子入札システム
https://e2odw.e-bisc.go.jp/CALS/Accepter/
・「入札用電子証明書」
・「ICカードリーダー」
・パソコン(Windows 10/11)
二年毎更新
随時受付有り
※事前パスワード申請発行期限
「東京都」「東京都電子調達システム」
https://www.e-procurement.metro.tokyo.lg.jp/index.jsp
・「入札用電子証明書」
・「ICカードリーダー」
・パソコン(Windows 10/11)
二年毎更新
随時受付有り
「東京自治体共同運営」
(東京都内の市区町村)
「東京電子自治体共同運営」
https://www.e-tokyo.lg.jp/choutatu_ppij/cmn/tmg/cmn/jsp/indexQ.jsp
・「ICカード電子証明書」
・「ICカードリーダー」
・パソコン(Windows 10/11)
随時受付
(継続申請期間:1年8ヶ月)
「神奈川県」
(神奈川県、県内29市町村、県内広域水道企業団)
「かながわ電子入札共同システム」
https://nyusatsu.e-kanagawa.lg.jp/
・「入札用電子証明書」
・「ICカードリーダー」
・パソコン(Windows 10/11)
二年毎更新
随時受付有り
「千葉県」
(千葉県など計30自治体)
「ちば電子調達システム」から電子申請
http://www.e-chiba.org/

※データ送信後、「受付表」などを窓口に提出
・利用者番号(メールアドレス)とパスワード
・パソコン(Windows 10/11)
・プリンター
・証明書類
二年毎更新
随時受付有り
「埼玉県」
(埼玉県のほか、61市町、4一部事務組合)
「事業者申請ポータル」から競走入札参加資格申請
「埼玉県電子入札共同システム」から電子申請
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0212/densinyusatsu/
・「入札用電子証明書」
・「ICカードリーダー」
・パソコン(Windows 10/11)
二年毎更新
追加受付有り
R6年10月時点 詳細は各ホームページをご覧ください。

入札参加資格登録の申請方法

申請方法は、窓口申請や郵送申請、電子申請(インターネット申請)があります。

従来の紙の申請に代わって、電子申請が増えてきています。東京都や国土交通省のように紙による申請を廃止している窓口もありますが、電子申請であっても、データ送信後に送付表や必要書類を窓口に提出する(持参または郵送)形式をとっている公共機関も多くあります。

発注を受けたい公共機関に対して個別に入札参加資格登録の申請を行うことが原則ではありますが、最近は、複数の機関に同時に登録を行えるインターネット一括申請の利用が主流になりつつあります。

国の各省各庁もまた一括申請の「一元受付」を採用しています。

窓口により申請方法は異なりますので、あらかじめ窓口やインターネット上でどのような方式で申請するのか事前の情報確認が必須となります。

国の一元受付

国の一元受付の場合、以下の機関で一括して申請することが可能です。

インターネット一元受付参加機関
①国土交通省大臣官房会計課所掌機関
大臣官房会計課、各地方運輸局、航空局、各地方航空局、気象庁、
海上保安庁、運輸安全委員会、海難審判所、国土技術政策総合研究所(横須賀庁舎)
⑩環境省
⑪防衛省
⑫最高裁判所
②国土交通省地方整備局
道路・河川・官庁営繕・公園関係および港湾空港関係、大臣官房官庁営繕部および国土技術政策総合研究所(横須賀庁舎を除く)
⑬内閣府
内閣府沖縄総合事務所
⑭東日本高速道路(株)
⑮中日本高速道路(株)
③国土交通省北海道開発局⑯西日本高速道路(株)
④法務局⑰首都高速道路(株)
⑤財務省財務局⑱阪神高速道路(株)
⑥財務省財務局⑲本州四国連絡高速道路(株)
⑦厚生労働省⑳独立行政法人水資源機構
⑧農林水産省大臣官房予算課
農林水産省地方農政局
林野庁
㉑独立行政法人都市再生機構
㉒日本下水道事業団
⑨経済産業省㉓独立行政法人鉄道建設・運輸施設設備支援機構

登録に必要な書類

入札登録に必要な基本の書類として、会社の登記情報や、経営状況が分かる財務諸表。税金を漏れなく納めているかを確認する納税証明書などがあります。

・登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
・納税証明書(法人税・消費税・法人事業税)
・財務諸表または開業届(個人申請の場合)
・誓約書・役員名簿など
・資格審査結果通知書(更新の場合)
・経営事項審査の結果通知書(総合評定値通知書)※建設の場合

登録資格取得までの流れ

下記は主な入札登録資格取得までの流れです。審査書類の提出は電子で可能な窓口のあれば、郵送の場合もあります。登録までにおおよそ2週間から1ヶ月かかりますが、電子申請の場合は、1週間かからない窓口もあります。

入札までのスケジュール

建設業の場合は、前提条件として経営事項審査を受けP点を取得することが必須ですので、入札参加までのスケジュールが物品入札とは異なります。以下は一般的に決算日を迎えてから入札参加までの流れです。

毎年公共事業を受注したい場合は、下記の一連の流れを繰り返しますが、申請スケジュールはその受注したい公共機関により異なってきます。

東京自治体共同運営】(随時申請)の場合

ここでは、決算月から入札までのスケジュールを、随時受付を採用している東京都の共同運営電子調達サービスにおける競争入札参加資格を例にご紹介します。

東京自治体共同運営の場合、有効期限は、登録申請した月(申請日時)の直前の決算月の翌月から起算して1年8か月後の月の末日です。 

資格有効期限後、さらに継続登録を希望する場合は、前回登録申請直後の決算月の翌月から(登録申請を行った月が決算月の場合は、登録申請を行った翌月から)資格有効期限までの8か月の間において継続申請の手続きが必要です。なお、資格有効期限までに継続申請手続きを行い承認されなければ、競争入札参加資格が無くなり、競争入札・見積競争に参加することができなくなります。 このように入札管理は専門の部署を設ける必要があるほどスケジュール管理が要となります。

入札参加資格申請スケジュール
東京自治体共同運営の場合

※各申請先でスケジュールは異なりますので必ずご自身でお調べください。

かながわ電子入札共同システム】(二年更新定期申請)の場合

もう一つ、多くの地方自治体が採用している「定期申請」と「随時申請」を例に紹介いたします。

「定期申請」の場合は、二年度毎が主流です。名簿の有効期間の始期(奇数年の4月1日)から認定を受けたい場合は、定期審査期間内に申請する必要があります。申請すると競争入札参加資格者名簿に登録され、名簿は二年度毎に切り替わるのでその都度継続申請が必要となります。「随時申請」は、期間の途中からでも随時受付期間に申請ができます。業種の追加などはこの随時申請を利用します。

建設業の場合は、経営事項審査

かながわ電子入札共同システムの場合

※各申請先でスケジュールは異なりますので必ずご自身でお調べください。

当事務所で代行申請してます

公共事業への入札参加資格は、さまざまなメリットがある一方で、思った以上に色々な手続きを踏まなければならず、また登録後もスケジュール管理が必須なので、ハードルが高い申請といえます。私たちSTパートナーズでは、入札参加資格登録の代行申請、登録後のスケジュール管理も行なっております。入札参加をお考えでしたら、当事務所へお気軽にご相談ください。

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