【令和8年7月1日施行】経営事項審査(経審)の改正点|自主宣言・建設機械・社会保険

経営事項審査制度改正|令和8年7月1日施行

 

 令和8年(2026年)7月1日以降に行う経営事項審査の申請から、建設業の経営事項審査(経審)の審査項目および基準が一部改正が適用されます。 今回の主な改正点と、新たに評価項目に加わる「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の概要についてお知らせいたします。

引用元:国土交通省HP(https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/tochi_fudousan_kensetsugyo_const_fr1_000001_00088.html)

引用元:国土交通省 改正内容の説明資料PDF

https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001982604.pdf

今回の改正点の理由や背景

 今回の経営事項審査の改正は、持続可能な建設業に向けた「担い手の育成・確保」や、地域の守り手としての「災害対応力の強化」に向けた企業の取り組みを、適正に評価・後押しすることを目的に実施されます。 また、令和2年に行われた建設業許可要件の改正を踏まえ、審査項目や基準の見直しが行われています。

経営事項審査の主な改正事項3つ

 今回の改正では、主に「その他社会性(W)」の項目において以下の変更が行われます。改正前・後の比較表(巻末)と共に解説します。

①自主宣言制度が5点の加点項目に

 建設業の処遇改善や、建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用を推進する企業を評価するため、「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言状況が、新たに5点の加点項目として追加されました。

 加点対象となるためには、審査基準日時点で、元請事業者または下請事業者の立場による有効な自主宣言を行っており、宣言書と所定の誓約書を提出する必要があります。ただし発注者の立場による宣言は、経営事項審査の加点対象にはなりません。

 誓約書では、宣言した取組について、取組開始日以降に実施する、または既に実施している旨を誓約します。必要書類や提出方法は審査行政庁によって確認してください。

 これに伴い、「建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況」の配点は、民間工事を含む全建設工事では15点から10点へ、全公共工事では10点から5点へ変更されました。

「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」とは?以下に詳しく解説

②建設機械の加点対象に2機種を追加

 地域防災の観点から、災害時の復旧対応に使用される建設機械の評価対象が拡大されます。 これまでの対象機種に加え、令和6年の能登半島地震などの応急復旧工事で活用実績が確認された「不整地運搬車」と「アスファルト・フィニッシャ」が新たに加点対象として追加されました。保有する対象建設機械の台数に応じ、14台以上の場合は最大15点となります。

③社会保険関係の減点項目を削除

 令和2年10月1日から、適用除外となる場合を除き、雇用保険・健康保険・厚生年金保険への加入が建設業許可の要件となりました。

 建設業許可の更新期間が5年であることから、令和7年10月1日以降に建設業許可を保有する建設業者は、原則としてこの加入要件を満たしていることになります。そのため、経審の段階で加入状況を改めて評価する必要性が乏しくなったとして、各保険の未加入をそれぞれ40点減点していた評価項目が削除されました。これは経審上の減点項目を削除する改正であり、社会保険への加入義務や建設業許可上の要件がなくなるものではありません。

経審の改正前後の配点比較

改正前
評価項目最高・最低
W1W1:建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状77/-120
削除
①雇用保険の加入状況
0/~40
削除
②健康保険の加入状況
0/~40
削除
③厚生年金保険の加入状況
0/~40
④建退共の加入状況15/0
⑤退職一時金もしくは企業年金制度の導入15/0
⑥法定外労災制度の加入状況15/0
⑦若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況2/0
⑧知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況10/0
⑨ワーク・ライフ・バランスに関する取組の状況5/0
⑩建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況15/0
W2W2:建設業の営業継続の状況60/-60
建設業の営業年数60/0
民事再生法又は会社更生法の適用の有無0/-60
W3W3:防災活動への貢献の状況20/0
W4W4:法令遵守の状況0/-30
W5W5:建設業の経理の状況30/0
監査の受審状況20/0
公認会計士等数10/0
W6W6:研究開発の状況25/0
W7W7:建設機械の保有状況15/0
W8W8:国又は国際標準化機構が定めた規格による認証又は登録の状況10/0
合計237/-210
改正後
評価項目最高・最低
W1W1:建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組の状77/0
①建退共の加入状況15/0
②退職一時金もしくは企業年金制度の導入15/0
③法定外労災制度の加入状況15/0
④若年の技術者及び技能労働者の育成及び確保の状況2/0
⑤知識及び技術又は技能の向上に関する取組の状況10/0
⑥ワーク・ライフ・バランスに関する取組の状況5/0
⑦建設工事に従事する者の就業履歴を蓄積するために必要な措置の実施状況※配点見直し
10/0
新設
⑧「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言の有無
5/0
W2W2:建設業の営業継続の状況60/-60
建設業の営業年数60/0
民事再生法又は会社更生法の適用の有無0/-60
W3W3:防災活動への貢献の状況20/0
W4W4:法令遵守の状況0/-30
W5W5:建設業の経理の状況30/0
監査の受審状況20/0
公認会計士等数10/0
W6W6:研究開発の状況25/0
W7拡大 
W7:建設機械の保有状況(既存の9機種の他に加点対象を拡大)
15/0
W8W8:国又は国際標準化機構が定めた規格による認証又は登録の状況10/0
合計237/-90

「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」とは

 今回新たに経審の加点対象となる「建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度」は令和7年12月12日から申請が始まった新しい制度です。その概要と仕組みを簡単に解説します。

引用元:国土交通省HP(https://jishusengen.mlit.go.jp/index.html)

■制度ができた理由と背景

 建設業界では、就労条件や高齢化などを背景に技能者の減少が続いています。この状況を踏まえ、建設技能者の処遇改善に積極的に取り組もうとする事業者がその旨を内外に宣言することにより、技能者から発注者・エンドユーザーに至るまでのサプライチェーンの中で適切に評価され、ひいては受注機会が確保され、就業者に選ばれることで、処遇改善の取組が持続的に行われることとなる枠組みを作ることを目的としています。

■宣言する内容(必須項目)

 自主宣言は「元請事業者」「下請事業者」「発注者」(発注者は経営事項審査の加点対象外)のいずれかの立場で宣言を行います。宣言にあたっては、以下の項目への賛同が必須となります。

  • 労務費確保・賃金支払い等のための取組
    • 労務費や材料費等の内訳を明示した見積書の作成や、提出された見積書の内容を考慮・尊重すること
    • 技能者の適切な処遇を確保するための取り組みを行う
    • 担い手の育成に取り組む
    • 国が建設工事に従事する者の適正な処遇の確保等を図るために行う調査に協力する
  • CCUS(建設キャリアアップシステム)の活用
    • 全ての現場においてCCUSを利用する技能者が就業履歴を蓄積するための環境整備
    • 技能者の詳細型登録を行うことなど(※立場によって必須条件が異なります)。
  • 宣言企業との取引優先
    • 取引先を選定する際に、自主宣言を行っている企業であることを考慮すること

※必須項目のほかに、各企業が独自に行っている処遇改善や安全衛生などの取組を「任意項目」として記載することも可能です(例:適正な請負契約、スキルアップ、女性活躍、外国人活躍等)

(キャリアアップシステムについて詳しく https://stp.tokyo/business/kensetsu/ccus/)

■宣言の手順

  1. 社内での検討:必須項目を遵守できるかを確認し、任意項目の内容や「取組開始日」を社内で検討します。
  2. 申請:専用の申請ポータルサイト( https://jishusengen.mlit.go.jp/applyf_sd.html )から手続きを行います。
  3. 公表:登録後、国土交通省のホームページに企業名や宣言内容が公表されます。

本制度や改正に関する詳細は、国土交通省の公式ホームページやガイドライン等も併せてご参照ください。

建設技能者を大切にする企業の自主宣言制度ポータル https://jishusengen.mlit.go.jp/

自主宣言制度FAQ https://jishusengen.mlit.go.jp/qa.html

宣言を行った企業等はシンボルマークおよび愛称を自社HP等で使用することができPRできます

 当事務所では、経営事項審査の申請をはじめ、決算変更届や建設業許可に関する各種手続きもサポートしております。経審の申請や準備についてご不明な点がございましたら、お気軽にご相談・ご依頼ください。