身分証明書・登記されていないことの証明書あるある

建設業や宅建業などの許認可申請では、提出が求められている公的証明書がいくつかあります。大まかに分けると、

①法人に関する証明書類(「履歴事項全部証明書」や「各納税証明書」)

②個人に関する証明書(「身分証明書」や「登記されていないことの証明書」)

ということになるかと思います。

今回は、上記の②身分証明書や登記されていないことの証明書に関する“あるある”を書いてみたいと思います。この“あるある”は、私たちの事務所が、依頼者の方々から委任状をいただき、各証明書を代理で取得していることから生じる課題でもあります。

証明書取得の事前対応について

身分証明書等を代理で取得する際には、事前に

①お客様個人の本籍地・戸籍の筆頭者名に関する情報

②「委任状」の原本

が必要となります。

委任状は、本人に代わって行う手続きについて、代理人が間違いなく本人から頼まれたものであることを証明するものです。昨今は押印レスの委任状で対応してくれる役所もありますが、個人情報保護を徹底する観点から、本人の署名・捺印(記名押印もNG)がないと対応してくれない役所の方が大多数といえます。

委任状に記入する項目例
 
・戸籍上の正式な氏名
・現住所
・押印(役所によっては省略も可能)


※捨印があると、急な訂正があった時に、窓口等で手書きによる修正が可能となります。

委任状をはじめ、正確な情報をいただけないと、窓口で受付されなかったり、郵送で書類が返却されてしまったりと、タイムラグがおきるため、申請手続が遅れてしまう可能性が高くなります。

よくある事例ベスト3

よくある事例を3つ紹介します。


①2種類ある委任状のうち、片方の委任状のみ用意している  
②本籍地や筆頭者名が分からない  
③委任状に会社の社判、法人印を押している  

①2種類ある委任状のうち、片方の委任状のみ用意している

これはどういうことかというと、

 ○ 身分証明書用の委任状×1通+登記されていないことの証明書用の委任状×1通

となるべきところ、

 × 身分証明書用の委任状×2通
 × 登記されていないことの証明書×2通

ご用意いただく方がいらっしゃいます。役員数が多い場合や、メールでやり取りする場合に多いかもしれません。

私たちもできるだけ分かりやすくご説明をしているつもりですが、コミュニケーションは中々、難しいものだと反省をしております。もし、どちらの委任状が分からなくなったら、以下の委任事項の記載を再度ご確認いただくか、お電話をいただけますと幸いです。

【委任事項の例】

1、身分証明書の取得に関する一切の権限

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1、登記されていないことの証明書の取得に関する一切の権限

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⭕️身分証明書用の委任状×1通

登記されていないことの証明書用の委任状×1通
身分証明書用の委任状×2通
登記されていないことの証明書×2通

②本籍地や筆頭者名が分からない

身分証明書は戸籍関係の証明書のため、住所地の市区町村ではなく、本籍地のある市区町村に請求する必要があります。そして、請求には、本籍地戸籍の筆頭者名の情報が必須となります。
最近では、免許証に本籍地の記載がされなくなったこともあり、ご自身の本籍地が分からないといった方が割と多いのではないでしょうか。
なお、本籍地や筆頭者名は、「住民票」を取得することで確認することができますので、手続の事前に取得をしていただくのも1つの方法かもしれません。

③委任状に会社の社判、法人印を押している

「身分証明書」や「登記されてないことの証明書」は、個人に関する証明書となりますので、会社の社判、法人印を押していただくと、委任状としての利用ができません。

特に、役員が代表者1名の場合などに多い事例といえます。

「身分証明書」や「登記されてないことの証明書」の委任状は、必ず個人の印鑑で、捺印をお願いします。

「身分証明書」や「登記されてないことの証明書」が証明する内容

※1 【「身分証明書」が証明する内容】
→個人が、禁治産又は準禁治産の宣告の通知、破産、後見の登記の通知を受けていないこと   “禁治産又は準禁治産“とは、精神上の障害等によって判断能力が基本的になく、財産管理ができない人のこと    

※2 【「登記されていないことの証明書」が証明するものとは】
→個人が、成年被後見人、被保佐人等の登記がされていないことを証明するもの   「成年後見制度」とは、知的障害・精神障害・認知症などによって判断能力の不十分な人をあらかじめ登記しておいて、本人の保護と取引の相手方の保護の両立を図ろうとする制度です。 “登記されていないことの証明”とは、その成年後見制度上の公的証明書となります。  

当事務所では、許認可申請の際、「身分証明書」や「登記されていないことの証明書」の取得も代行しております。役所や法務局へ行く時間がない場合は、安心してお任せください。

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