Q14. 財産的基礎・金銭的信用とは
許可取得に必要な要素として、財産的信用があります。一般建設業の新規申請は500万円以上、特定建設業ではさらに加重され、継続的な財産的基礎を維持していることが必要です。
建設工事を着手するに当たっては、資材の購入及び労働者の確保、機械器具等の購入など、一定の準備資金が必要になります。また、営業活動を行うに当たってもある程度の資金を確保していることが必要です。このため、建設業の許可が必要となる規模の工事を請け負うことができるだけの財産的基礎等を有していることを許可の要件としています。
さらに、特定建設業の許可を受けようとする場合は、この財産的基礎等の要件を一般建設業よりも加重しています。これは、特定建設業者は多くの下請負人を使用して工事を施工することが一般的であること、特に健全な経営が要請されること、また、発注者から請負代金の支払いを受けていない場合であっても下請負人には工事の目的物の引渡しの申し出がなされてから50日以内に下請代金を支払う義務が課せられていること等の理由からです。
また、新規許可が5年未満の場合、業種追加する際は財産的要件の確認があります。その場合、残高証明書などの添付が必要なります。他にも、特定建設業でどうしても急いで許可が必要な場合、決算期を変更して前倒しする方法を取ることもあります。
(資本金だけ確定した決算期以降に増資して条件をクリアすることを認める自治体もあります。)
一般建設業 (①〜③のいずれか) | 特定建設業 (①〜③のすべてに該当) |
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①自己資本が500万円以上 | ①欠損の額が資本金の20%を超えていないこと |
②500万円以上の資金調達能力 | ②流動比率が75%以上であること |
③許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績 | ③資本金の額が2000万円以上でありかつ、自己資本の額が4000万円以上であること |
一般建設業の財産的要件
「500万円以上の財産」があるかは、書面審査されます。
①財産的基礎 | |
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「自己資金の額」が500万円以上の場合→財務諸表により証明(総資本から他人資本を控除したもの) | |
法人の場合 | 【純資産合計額】 |
個人の場合 | 【((期首資本金+事業主借勘定+事業主利益の合計額)から「事業主貸勘定」を控除した額)に、負債の部に計上されている利益留保性の引当金・準備金の額を加えた額】 |
②金銭的信用(資金調達能力) |
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・500万円以上の申請者名義の金融機関の【預金残高証明書】(定期・当座・普通預金の合計額) ・500万円以上の申請者名義の所有不動産などの【評価証明書】 ・500万円以上の申請者名義の金融機関の【融資証明書】など |
③許可取得後5年間の営業実績 |
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許可取得後に5年間の営業実績があれば、倒産などが生じることなく、必要な変更届を確実に提出して5年間営業し「更新」しているので、 財産的基礎の審査を改めて受ける必要がない |
特定建設業の財産的要件
許可申請の直前の決算において、すべての基準を満たしていることが必要です。
①〜③の基準を満たしているかの判断は、
既存企業・・・申請時の直前の決算期における「財務諸表」
新設企業・・・創業時における「財務諸表」
※申請日までに増資を行うことで基準を満たすことになった場合は、基準を満たしたものと取扱う
①「欠損の額」が資本金の20%を超えていないこと | |
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法人の場合の「欠損額」 | 「貸借対照表のマイナスの繰越利益剰余金」が、「資本剰余金+利益準備金+その他の利益剰余金(繰越利益剰余金を除く)の合計額を上回る額 |
個人の場合の「欠損額」 | 「事業主損失」が、「事業主借勘定」から「事業主貸勘定」を控除した額に、負債の部に計上されている利益保留性の「引当金」+「準備金」を加えた額を上回る額 |
②「流動比率」が75%以上であること |
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「流動比率」=流動資産÷流動負債 |
③「資本金の額」が2000万円以上かつ、自己資本の額が4000万円以上 | |
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株式会社 | 払込資本金 |
特例有限会社 | 資本の総額 |
合資会社、合名会社など | 出資金額 |
個人 | 期首資本金 |