監理技術者の兼任に新制度「専任特例2号」とは

建設業法改正 令和6年12月13日施行

 建設業の許可においては、元請下請業者にかかわらず請負った建設工事を施工するとき、その工事現場の技術上の管理をする者として、必ず「配置技術者」を配置しなければなりません(法第26条第1項)。

 発注者から直接請け負った特定建設業者が、その建設工事に関し締結した下請け契約の請負代金総額が5,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円以上となった場合には、「主任技術者」にかえて「監理技術者」を置かなければなりません(法第26条第2項、施行令第2条)。

 上記の工事に配置された監理技術者は、原則として工事現場に専任しなければならないとされています(法第26条第3項、施行令第27条)が、近年の技術者不足や生産性向上の観点から、国土交通省は「専任特例2号」の制度を新設し、一人の監理技術者が、二つの工事を兼任できるようになりました。

「専任特例2号」とは

 工事一件の請負金額が4500万円(建築一式工事は9000万円)以上の公共性のある重要な建設工事において、監理技術者を配置する場合は、現場専任性が求められますが、監理技術者の職務を補佐する者「監理技術者補佐」をそれぞれの工事現場に専任で置く時には、一人の監理技術者が二つの工事現場に配置することが可能となります(同一の管理技術者が配置できる工事現場数は2まで)。

 この監理技術者を「特例監理技術者」と呼び、この制度を「専任特例2号」といいます。 

 工事現場に監理技術者を補佐する者を配置することは任意で可能ですが、補佐を配置した工事現場の数が1であっても、当該監理技術者が補佐を置かない他の工事現場の配置技術者にはなれません。また、専任特例2号は監理技術者に関する特例であり、主任技術者は対象となりません。

 また、同一の監理技術者又は主任技術者が、専任特例1号専任特例1号の記事はこちら)を活用した工事現場と、専任特例2号を活用した工事現場を兼務することはできません。

『監理技術者制度運用マニュアル』三より

特例監理技術者が兼務できる現場は2現場までで、監理技術者補佐は工事現場毎に置く必要があります。

特例監理技術者」の職務

 「特例監理技術者」は、職務を適正に実施できるよう、「監理技術者補佐」を適切に指導することが求められます。特例監理技術者は、その職務を監理技術者補佐の補佐を受けて実施することができますが、その場合においても、特例監理技術者はその職務が適正に実施される責務を有しています。

 一方、「監理技術者補佐」は、特例監理技術者が現場に不在の場合においても監理技術者の職務が円滑に⾏えるよう、特例監理技術者の指導監督の下、その職務を補佐することが求められ、常に連絡が取れる体制を構築しておく必要があります。

 兼務できる工事現場の範囲は、工事内容、工事規模及び施工体制等を考慮し、主要な会議への参加工事現場の巡回主要な工程の⽴会いなど、元請としての職務が適正に遂⾏できる範囲とされています。

 この場合、情報通信技術の活用方針や、監理技術者補佐が担う業務等について、あらかじめ発注者に説明し理解を得ることが望まれています。

「監理技術者補佐」の要件とは

 監理技術者の職務を補佐する者は、監理技術者がその職務として⾏うべきものに係る基礎的な知識及び能⼒を有すると認められる者とされており、具体的には以下の①②のいずれかの者となります。

監理技術者補佐の要件

建設工事の種類に応じた1級技士補であって、主任技術者要件を満たす者
建設工事の種類に応じた監理技術者要件を満たす者
(令第28条、国土交通省告⽰第1057号)

※技士補とは
令和3年度からの新たな技術検定制度において第1次検定に合格した者に与えられる称号です。

主任技術者・監理技術者の要件

許可を受けている業種指定建設業(7業種)※その他(左以外の22業種)
許可の種類特定建設業一般建設業特定建設業一般建設業
元請工事における下請代金合計5,000万円以上
(建築一式:8000万円以上)
5,000万円未満
(建築一式:8000万円未満)
5,000万円以上(建築一式:8000万円以上)は下請契約できない5,000万円以上
(建築一式:8000万円以上)
5,000万円未満
(建築一式:8000万円未満)
5,000万円以上(建築一式:8000万円以上)は下請契約できない
工事現場に
置くべき技術者
監理技術者主任技術者監理技術者主任技術者
一級国家資格者
国土交通大臣
特別認定者
一級国家資格者
二級国家資格者
実務経験者
一級国家資格者
実務経験者
一級国家資格者
二級国家資格者
実務経験者
※指定建設業7種(土木一式、建築一式、管工事、鋼構造物、舗装、電気、造園)

 建設業許可申請に関して、また主任技術者又は監理技術者についてご相談がございましたら、当事務所までお気軽にご連絡・ご依頼ください。