許可更新に必要な決算変更届と変更届の重要性
(建設業許可/東京都)
先日、千代田区および江東区で電気通信工事業を営む2社の決算変更届を、建設業課の窓口へ提出いたしました。届出は無事に受理され、副本をお客様にお渡しすることができました。
このお客様は、今年建設業許可の更新申請を控えており、今回の提出で5期分の決算変更届がすべて揃い、無事に更新条件を満たすことができました。
なお、決算変更に限らず、許可後に変更事項が生じた場合は、期限内に変更届の提出が必要です。未提出のままだと、「更新申請」だけでなく、「般・特新規」「業種追加申請」、さらに「事前認可申請」なども受付されません。
【建設業許可後の手続き】
建設業許可には5年間の有効期限があります。この期間中に生じた変更事項については、所定の期限内に所管の行政庁へ変更届を提出する必要があります。今回は、許可取得後に必要となる手続きを改めて確認していきます。
許可取得から更新までの5年の間には、営業所の移転や役員変更など、さまざまな変化が生じる可能性があります。
営業所に関する変更や役員の変更などの届出の届出期間は変更後30日以内と定められています。これらの変更届には、登記事項証明書(履歴事項証明書)の添付が必要とされています。登記事項証明書とは、法人の情報(所在地、代表者名、資本金など)が正確に記載された登記簿の証明書です。届出の際には、あらかじめ登記変更を済ませ、提出期間内に証明書を添付する必要があります。
また、経営業務の管理責任者(経管)や専任技術者(専技)の変更届の提出期限は、変更後2週間以内と定められています。この短期間のうちに、変更予定者が要件を満たしているかを確認し、必要な書類を揃える必要があるため、早めの準備が重要です。
許可後の手続き一覧
届出事項 | 届出期間 | |
変 更 に 関 す る も の | 決算報告 | 事業年度終了後4か月以内 |
商号の変更 | 変更後30日以内 | |
営業所の名称の変更 | ||
営業所の所在地・電話番号・郵便番号の変更 | ||
営業所の新設、廃止(※) | ||
営業所の業種の追加、業種廃止(※) | ||
資本金額の変更 | ||
役員等・代表者(申請人)の変更 | ||
支配人の変更 | ||
建設業法施行令第3条に規定する使用人の変更 | 変更後2週間以内 | |
常勤役員等(経管)の変更 | ||
専任技術者の変更 | ||
健康保険等の加入状況の変更 | ||
廃業に 関する もの | 全部廃業 | 廃業後30日以内 |
一部廃業(※) |
(東京都R6年度手引きより)
※ 専任技術者の変更を伴う、営業所の新設、廃止、業種追加及び業種廃止並びに一部廃業
を提出する場合は、変更後2週間以内に届出が必要です。
【決算変更届は一年間の事業報告として毎年提出する】
主な変更届の手続きとして、今回提出した「決算変更届」があります。決算変更届の提出期限は「決算終了後4ヶ月以内」とされています。ただし、期限を過ぎても受付は可能です。
実際に当事務所の事例では、2~3期分をまとめて提出することもありました。また、更新申請と同時に未提出だった5期分をまとめて提出したケースもあります。
まとめての提出でも東京都や千葉県では受理されていますので、更新そのものは可能です。しかし、数年分の決算書や工事経歴書などを一度に準備することになり、お客様の負担が大きくなってしまいます。毎年事業年度終了ごとに確実に提出するのが最善です。
また、新規で建設業許可を取得されたお客様で、次のような事例がありました。
決算変更届を「決算期の変更」と誤解され、「うちは決算期を変更しないから提出は不要」と思い込まれていたケースや、税理士に決算書の作成を依頼しているから大丈夫だと考え、届出が不要と判断されたケースです。
建設業における決算変更届は、税理士が作成した決算書をもとに、建設業許可用として再構成する必要があります。この決算変更届は、建設業を所管する行政庁に対する「一年間の業務報告」として非常に重要な役割を持つものです。
なお当社では、決算変更や許可更新などの時期をお客様と共有し、届出の時期がきましたら、その都度お知らせをしております。
決算変更届で提出するのは以下の内容です。
「決算変更届」提出書類(東京都・法人の場合)
※提出方法:窓口/郵送/電子申請
① 変更届出書(決算報告用)
② 工事経歴書
③ 直前3年の各事業年度における工事施工金額
④ 財務諸表
• 貸借対照表
• 損益計算書
• 完成工事原価報告書
• 株主資本等変動計算書
• 注記表
⑤事業報告書(株式会社のみ)
⑥別とじ表紙
⑦ 法人事業税納税証明書(都税事務所発行)
変更があった場合に提出が必要な書類
●使用人数
●使用人の一覧表(建設業法施行令第3条に規定)
●健康保険等の加入状況
【当社は許可のスケジュール管理を行っています】
このように、変更届を定められた期間内に速やか届出することや、決算変更届を毎年提出することは、5年後に来る更新申請をスムーズに行う上で大変重要となります。未提出のまま数年分をまとめて出すことも可能ではありますが、その際には準備の手間や負担が大きくなるだけでなく、必要な情報の精度や記憶も薄れがちです。そのため、毎年確実に提出を行うことが、結果的にスムーズな許可運用や将来の申請対応につながります。
当事務所では、忙しいお客様に代わり、提出期限に合わせたスケジュール管理も行っております。もし決算変更届の提出が滞ってしまった、または期限を過ぎてしまった場合でも、ご相談いただければ対応可能です。
また、経営事項審査(経審)を受ける場合も、決算変更届の提出が必須です。入札参加をお考えのお客様は、ぜひ当事務所にお任せください。
【建設業課の窓口の発券システムが刷新】
余談ですが、4月初旬に都庁で届出を行った際、建設業課の発券機がリニューアルされており、受付項目が増えていて少し戸惑いました。窓口の横に大きなモニターが新設されていてよく見ると、どの窓口でどの申請が何人待っているのかが一目で確認できるようになり、混雑状況の把握が容易になっていました。
さらに、発券チケットのQRコードをスマートフォンで読み取ると、リアルタイムでの待ち人数確認や呼び出しメールの受信が可能に。この日は宅建業課にも申請があったため、待ち時間を有効活用して別の手続きも済ませることができました。とても便利なシステムなので、今後も活用していきたいと思います。

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