一般乗用旅客自動車(タクシー)運送事業の譲渡譲受認可申請

 つい先日、一般乗用旅客自動車、いわゆる法人タクシーの事業譲渡の認可申請手続が無事に終了しましたので、内容を簡単にまとめてみたいと思います。

【1】タクシーの定義と種類

「⼀般乗⽤旅客⾃動⾞運送事業」とは、有償で旅客を運送する事業のうち、事業者と利⽤者が1つの契約により、乗車定員10⼈以下(ドライバー含む)の⾃動⾞を貸し切って旅客を運送する事業のことをいいます。⼀般的なタクシーの他、ハイヤー事業などが該当します。

【種類】

①営業タクシー(法人・個人)

一般的なタクシー。流しのタクシーや、駅、空港、ホテルなどでつけ待ちしているタクシーを見る機会が多いのではないでしょうか。

現在は、登録されている車両数が多すぎるとして、新規参⼊はもちろん増⾞も規制の対象となっています。

②(⼀般)ハイヤー

予約等が必要で、タクシーより高級な車両をイメージされる方が多いと思います。法令上はその他ハイヤーと呼ばれますが、許可は需要の⾒込みがある都市部の交通圏に限定されています。

③都市型ハイヤー

ハイヤー営業可能な交通圏でのみ許可等が認められ、営業タクシーの参入規制がある地域でも新規許可や増⾞が可能です。

1⽇単位または2時間以上の単位で貸し切る契約を営業所で予め締結することが必要となっています。

④福祉限定タクシー

要介護認定を受けている方や障がい者の方などに利用者が限定されているタクシーです。軽⾃動⾞でも可能ですが、介護ができる運転手や同乗者の条件が課せられます。

※関東運輸局管内で「ハイヤー」営業が認められている交通圏

埼⽟県①県南中央交通圏
千葉県②京葉交通圏 ③東葛交通圏 ④千葉交通圏 ⑤北総交通圏
東京都⑥特別区・武三交通圏
神奈川県⑦京浜交通圏

【2】法人タクシーの参入規制について

 上記1のハイヤー営業ができる交通圏は、営業タクシーの台数が供給過多であるとして、「特定地域及び準特定地域における⼀般乗⽤旅客⾃動⾞運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」の規定に基づき「準特定地域」に指定されているため、タクシー(その他ハイヤーを含む)の増⾞が制限されています。

 そのため、タクシー事業に新規参入したい場合や、増車をして事業拡大したいといった事業者は、既存タクシー事業者から事業譲渡や分割などの事業承継を選択することになります。

※「都市型ハイヤー」や「福祉限定タクシー」は規制の対象外です。

【3】事業承継の認可手続の流れなどについて

 次の図は一般的な譲渡譲受の手続や流れを示したものです。譲受側が既存のタクシー事業者か、新規参入事業者かによって、提出する申請書類の内容や法令試験の要否などが流れが異なってきます。

【4】まとめ

 今回は、既存のタクシー事業者同士の譲渡譲受の認可申請のため、役員の法令試験は不要でした。また、事業に必要な所要資金の計算も譲受側の既存設備を利用する計画だったため、必要最小限の所要資金で済みました。

 認可の後は、譲受事業者での車検証変更手続などの他、譲渡事業者の事業廃止届の提出までサポートして、一連の譲渡譲受認可手続は終了となりました。

  

 当事務所では、事業承継による法人タクシーの譲渡譲受や、事業再生に基づき行う第二会社方式の分割認可手続に関しても相談に応じています。ご相談の際は、ぜひお気軽にお電話ください。

  

譲渡譲受_認可証
運賃の変更_認可証